OBインタビュー(第2回):神谷侑世「"子供達"と"社会"との溝を埋めるために」。

伊達 直希

2017年10月05日

こんにちは、STORYインターン生の伊達です。

前回に引き続き、STORYの卒業生にインタビューをさせていただきます。今回は、STORYを今年の春に卒業され、今は株式会社LITALICO(りたりこ)で活躍していらっしゃる、神谷侑世(かみや あよ)さんにお話を伺いました。社会に出てから感じる、大学生との違いや、その中でのSTORYでの活動について振り返っていただきます。

"行動できていなかった自分"からの変化

-まず、STORYのことについて時系列で話してもらえればと思います。STORYへの入社動機は何だったんでしょうか?

そうですね。そもそも私がSTORYと出会ったのが大学3回生なんですが、それまでの自分の話を少しさせてください。

私は元々、家の環境の影響もあり、社会の動きに興味関心を持っていた人間でした。高校生の時には、戦争や貧困の問題に対して、なんでそんなことが起きてしまうのか、何とか解決できないか、と考えていました。なんの罪もない人たちが理不尽に苦しんでいるのに、なぜこの社会から戦争や貧困がなくならないのか、すごく疑問だったんです。

で、その当時は、「大学生になったら何かできるかもしれない」とぼんやり思っていたんですね。でもいざ大学生になってみると、何をしたらいいかわからないし、何もできていない自分がいました。NPOに参加したこともあったんですが、自分にはあまりピンとこなくて。何かしたい、何かしなきゃ、でも何もできてない。そんな自分が自分ですごく嫌でした。「言ってるだけの人間やん」って。なので、1、2回生のころはすごくもやもやした思いを抱えながら過ごしていました

そんなもやもやした状態の大学2回生の終わり頃、家族と何気なく話しているときに、妹が「私どうせ勉強できひんから、ええねん。」とぽろっと言っているのを聞いたんです。その言葉が私の中ですごく引っかかりました。今まで私は貧困問題とかそういう広い世界のことを考えていたけど、一番身近にいる家族が、『勉強』という一部分だけを切り取って、自分の可能性を諦めてしまっていることを知ったんです。 私は妹のことを「ダメ」なんて思ったことは全くなかった。それなのに彼女は勉強というほんの一か所を切り取って自分のことを「もうだめなんだ」って思っていることがすごく悲しかった。

なんで彼女がそんな風に考えてしまったんだろうって考えた時に、今の教育のシステムが原因なんじゃないかと思ったんですね。つまりテストの点数でランク付けされてしまうシステム。そのシステムの中では、点数が絶対的な基準としておかれてしまっている。でも、人の可能性って点数だけで測れるものじゃないですよね。

自分の可能性はもっともいろんなところに広げられるはずなのに、今の教育がそれをギュッと押さえつけてしまってるんじゃないか。それって子どもにとっても良くないし、日本の社会にとっても良くないんじゃないか、逆にそこが変われば社会ってもっとより良くなるんじゃないか、という思いに至ったとき、今の教育を変えたい、そう思うようになりました。

そのタイミングでSTORYからスカウトメールが来たんです。大学3回生の秋ごろでした。STORYの紹介文を見た時に、「教育を変えていく」「子供たちの可能性を広げる」と書いてあって、まさに自分の考えていた教育の在り方と一致していて、むちゃくちゃ共感しました。そこから面接で話を聞いていく中で、教育を本当に変えるってところから一点もぶれていないし、組織全体で正面からそれにぶつかっていってるってことがすごく伝わってきました。「ここだったら、教育現場での経験も積めるし、教育を変えるというところに携われる」と思ったので、すぐに入社を決めました。

-なるほど、ではSTORYに入ってからはどんなことをしていましたか?

時系列に沿って話すと、

  • 試用期間:1ヶ月間のお試し採用/STORYでインターンを続けるために、とりあえずこの一か月で「こいつ、やれるな」と思ってもらえるよう他者も巻き込んでがむしゃらに行動。
  • 一般インターン:子供達に社会について学んでもらうワークショップの作成と運営プロジェクトへの参加。
  • トップガン:ミドルマネージャーであるトップガンでの活動(ここでうまくメンバーを育成できず、「マネジメント」の壁に当たる)。
  • スタンスビルディング総合開発プロジェクト:人のスタンスを形成する要素を抽出し、体系化していく作業。0から形を創り上げる0→1の開発がメイン。

という感じになります。

-ありがとうございます。その中で楽しかったことを教えてもらってもいいでしょうか?

そうですね、私はSTORYの中でみんなで価値を追求していくことがとても楽しかったです。

STORYが提供したい価値って、子供たちが自分の可能性を広げていって、自分が生きたいように生きていけるようになってもらうってことたなので、何かをしたから終わりとか、いい授業をしたから価値発揮できましたね、とかじゃないんです。正解の形はなくて、だからこそ、「何ができるのか」とか「どうしたらいいのか」ってことをチームで考える。そうすると1人で考える以上のものが出てくる。それはSTORYの中で初めて知った感覚でした。 全員が価値を提供するために妥協せずに考えつくす経験ができたのはすごく楽しかったです。

「全部できる」必要はない

-逆に、大変だったことはどんなことがありましたか?

さっきもちらっと言ったけど、1つはマネジメントの部分です。 STORYに入るまでは、特に対人関係で悩んだことはなかったんですが、いざマネジメントをしてみると、うまくメンバーをモチベートできなくて、同じチームのメンバーが辞めていってしまうようなこともありました。なので当時は「私って実は対人スキルすごく弱いんや。。」と落ち込んでいました。

ただ、代表の毎悟克さんや、他のトップガンに相談していく中で、対人スキルはたくさんある中の1つのスキルであって、得意な人もいればそうじゃない人もいることに気づけました。他のトップガンを見ていても、対人が苦手な人はいるし、その人たちは他の部分で価値を発揮していた。

そこから、「私は対人は得意じゃないから別のところに力を注いで価値を発揮したらいいだけやな」って切り替えることができました。つまり、「全て自分でできるようにならんくていいや」って思えるようになったんです。そう思えるようになってから、プロジェクトをメインで進めていくようになりました。

ただ、メインのプロジェクトであるスタンスビルディング総合開発プロジェクトでも壁はありました。開発で価値を追っていくことは、なかなか答えが出なくてしんどかった。なので、自分が考えているものが本当に価値に向かっているものなのか自信が無くなってしまって、自分の考えていることは全然ショボいものなんじゃないかなって思って、全然発言できてなかったりした時期がありました。ミーティング中もずっと議事録とってて、喋るの二言くらいとかになったりしてたりね(笑)。

なるほど。そこから抜け出せたのは、なぜでしょうか?

それは私がリーダーとして担当することになったサブプロジェクトの存在が大きいかな。 私はスタンススキル辞典というものを作成してたんです。これはインターン生が、開発プロジェクトで開発したスキルスタンスを、実際に生徒を洞察する中での観点として利用できるように、まとめたものです。

このサブプロジェクトは開発したものをちゃんと実用に乗せるという意味で、すごく重要だと思っていました。また、任せられたのにここで何もせずに逃げたら、自分はいる意味ないなって思ったので、必死でした。その中で自分の介在価値を感じられたからこそ、開発の方でも踏ん張ることができたのかなと思っています。

教育への想いを持ってリタリコへ

-では次に、今の就職先であるLITALICOについて入社動機を教えて頂いて良いでしょうか?

出会ったきっかけは3回生のサマーインターンでした。『障害のない社会をつくる』っていうLITALICOのビジョンに惹かれたんです。LITALICOは障害=個人にあるものではなく社会がつくっているものと考えていて、社会を変えることで障害を無くすことができると考えている点に、すごく共感しました。

-実際にLITALICOに入ってからはどうですか?

今は入社して5カ月くらい経ったところですが、LITALICOワークスという事業部に所属し、障害をお持ちの方の就労の支援に携わっています。そこで自己理解の促進や、就職に向けた支援や就職後長く働き続けるための支援などを行っています。 私自身は、ワークショップのような形で利用されている方に就職に必要な知識を提供したり、スタッフ同士で一人一人どのような支援をしていくかを議論して実践したりしています。

-そうだったんですね。それって教育から少し距離があることではあると思うんですが、葛藤はないでしょうか?

そうですね、もともとLITALICOには教育に携わりたいと伝えてもいたので、今の事業部に配属されたことには少し驚きました(笑)。

ただ、就労支援に携わることで「教育を受けたその先の社会がどうなっているのか」を見ることができると考えています。教育は社会で生きる最初の部分を担っていて、就労はそのあとを担っている。だからこそ、実際に働く上で必要な力って何なんだろうとか、今の教育に足りないものって何だろうって考えたいと思っています。

社会人としての責任感

-ありがとうございます。では次に、社会に出てから感じる、大学生と社会人の違いってなんでしょうか?

大学生の時との違いで大きく感じるのは、自分の行動に対する社会的責任の大きさと、それに付随した時間の使い方です。どういうことかと言うと、自分の行動のその先にお客さんがいる、ということです。大学生のころは、自分の行動が誰かに何か社会的な影響を与えているなんてことは考えていなかったと思います。

でも、社会人になると、社員として「サービスを提供する側」になるので、目の前にはサービスを求める人がいます。だから、相手にいかにより良いサービスを提供するか、それを考えることが何より重要だなと感じています。具体的な例を挙げると、大学の時は授業も行ったり行かなかったり、24時間を基本的に自分の時間として使えますよね。けど、会社に入ると、会社で決められた時間で業務をやって価値を出していくことが必要になってきます。つまり決められた時間の中で、求められるものを提供する必要があるので、質や価値にこだわる必要があるなと感じます。

価値に向かい行動する力

-社会に出てから感じる、STORYで学べて良かったこと、重要なことを教えてもらいたいです。

STORYで得たものはたくさんありますが、その中でも大きなものは次の3つです。1つは自分で考えて行動する姿勢、2つ目は客観的、俯瞰的に物事や自分を捉える姿勢、3つ目が価値意識です。

自分で考えて行動する力というのは、言葉の通り、自分で目的や目標を置き、そこに到達するために必要な行動を考え、行動していくことです。入社したばかりの新人には、もちろん先輩社員の方がいろいろと教えてくれます。でも、先輩社員の方も仕事を抱えていてすごく忙しい。そうすると、丁寧に0から100まで教えてくれることってあんまりないです。なので、早く価値を出したいと思うなら「今自分は何をすべきなのか」を自分で考えて行動していくことが重要になってくるんじゃないかと思います。

STORYでは、インターン生1人1人が生徒のために自ら考えて行動することを常に求められます。視点の偏りを無くしよりよい価値を生徒に提供するために常に複数人でフィードバックを行いますが、実際に生徒に接して生徒に働きかけるのは他の誰でもない自分自身だからです。自分が考えて行動していかなければ価値を提供できないという環境でした。常にこの姿勢が求められていたからこそ、今ではもはや当たり前のように身についているのだと思います。

客観的、俯瞰的に物事や自分を捉える力は、現状を改善することや自分の成長のためにすごく必要なものだと思っています。STORYでは、生徒との関わりやマネージャー、経営陣との関わりを通じて、「自分はこう考えていたけれど、マネージャーから見たらこんな風に見えているんだ」と気づく場面がたくさんありました。客観的に物事を捉えるには、偏らないようにいろいろな視点から眺めることが必要ですが、それに必要な視点や機会をたくさん与えてくれたのがSTORYだと思います。

社会に出ても、誰かが正しい答えを持っているわけじゃなくて、「自分はこう思っているけれど、他の人は違うことを思っているかもしれない」ってことがたくさんあります。この視点って、PDCAのCの部分の妥当性を高めることに繋がると思っています。自分はこうだと思う、だけどもしかしたらこうかもしれないし、ああかもしれないって色々考えられるから、次に起こすアクションがより最適なものになると思うんです。

最後の価値意識は、STORYにいなければ得られなかった、私にとってとても大事にしたいものです。私が思う「価値を意識する」というのは、「何をするのか」ではなく「何を届けられたのか」「届けるベきものは何なのか」を自分を含めチームで考えて実践していく事で、そのような環境にいれたことはすごく幸せでした。

「何をするのか」に意識がいってしまうと、その行動をすることで自分が満足するだけになりかねないと思っています。STORYでは、1人1人抱える課題が違う子供達に向き合う中で、STORYのビジョンに紐付いて、単に成績を上げることではなく、1人1人が社会を生きていく力を身につけるために何ができるのかをずっと考えて実践していました。

価値を追求するのは、ほんとうに終わりの見えないつらくしんどい道のりでしたが、それを歩いて行く中で、見えない不安の中でも立ちすくむことなく歩き続ける力を得られたと思っています。

-最後に、今後のキャリアについて教えてもらいたいです。

私はやっぱり、子どもたちが自分の可能性に気づいてそれを広げていけるような社会とか、生きていくことが幸せだと思える社会を実現したいっていう想いが強くあります。そこはぶれないです。なので、今は就労支援というところに携わっていますが、ここで得られたものを教育に持ち込んでいくだとか、あるいは、教育と就労の間にある「溝」が問題になってきているので、そこをしっかり繋いでいくことをやっていきたいと思っています。

そして、最終的にはやっぱり教育自体を、もっと1人1人を尊重し、子ども達が自分の可能性をのびのびと伸ばせるような、そんな教育に変えていきたいと思っています。

伊達 直希

NAOKI DATE

神戸市外国語大学
 

ボクシングをずっとやっていたせいか、独りよがりで、よく「一匹狼」と揶揄されます。STORYを通し、最近やっと自分にも仲間ができたと実感しています。これからは、1人ではなくみんなで進んでいける人間を目指して頑張っていきます。

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